あの子はどんな大人になっているだろう

『自転車泥棒』っていう古いイタリア映画がある。色んな目線はあると思うけど、映画そのモノより、僕に強烈に残っているエピソード(撮影秘話)がある。

この映画の〈キモ〉は、主役の少年の涙だ。
撮影中、泣けなかった少年に監督のとった行動が!?
(この時代です。興味ある方はググって下さいませ。)

あぁ…。さもありなん。映画(表現)は、残酷だ。

僕は思う。あの子はどんな大人になっているだろう。

 

の演じたケンジは「泣けない男」…。世の中に我慢して泣けなくなった人は沢山いるだろう。果たしてケンジは…。

わずか10分の作品に、皆のやりたかった事、やれなかった事、が映っています。
どうぞ、宜しくお願いします。 

なにもしないで

「嘘はつきたくなかったんだ。」初めての上映後、私は主演の松原正隆さんにそう告白した。

「嘘は撮りたくない」などと現場では誰にも言わなかった。そんな事を言葉で説明してもね…。この作品には脚本が有るようで無い、無いようで有る。大筋と科白が書かれた脚本は当然存在する。ただ「嘘の無い感情」を私は撮りたかったので、感情が湧かなければ何も喋ら無くていいし、脚本通りに無理して動こうとしないで欲しいと役者に注文した。カメラの前で「何もしない」と言う事は役者には結構恐怖だ。どうすれば「感情が揺れる」のか、役者と共に創って行く過程はとてもスリリングなものだった。そしてそこで起きている事象をドキュメンタリー的に撮って欲しいとカメラマンにはお願いした。

奇をてらわずオーソドックスに撮る。ただし何か一つは必ずチャレンジする事。メインスタッフにはそう伝えていた。それがどんなチャレンジで、成功しているか否かは観てのお楽しみだ。

 

どこにでもある日本の風景。その中を一見平凡なアラフォー男が通過する。そこで出くわす老若男女(と動物)と触れ合って行くうちに、何かが少しずつ主人公を変えて行く様を楽しんで頂ければと思う。何気ない日常の中で、そこはかとなく漂う人々の優しさや滑稽さ、ちょっとした狂気等が実は人間を豊かにしている。そんな風に考えてみるのは…悪くない、かな?

この作品と共に皆様とどこかでお会い出来る日を夢見ながらー。